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フラーレンの発見と、その後の歴史

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 フラーレン(C60)が発見されたのは、今から20年以上前の1985年のこと。発見者は、英国サセックス大学のハロルド・クロトー教授、米国ライス大学のリチャード・スモーリー教授、そして同大学のロバート・カール教授、以上の英米3人の科学者でした。フラーレンの発見に対して、この3人の教授は1996年にノーベル化学賞を授与されています。


 実は、クロトー教授らによるフラーレン発見に先立つ15年前、フラーレンの存在を予測した日本人がいました。その人こそ、当時豊橋技術科学大学の教授であった大澤映二氏です。しかし、大澤教授の理論や考察は日本語の雑誌に掲載されるに留まったため、欧米の学者に注目されることはありませんでした。こうして月日は流れ、1985年のフラーレン発見へと至ったのです。


 クロトー教授らが行った実験とは、真空の環境下で、黒鉛(グラファイト)を一旦レーザーで蒸発させ、ばらばらになった炭素原子が再び集積する際、果たしてどのような物質が合成されるのかを調べるというものでした。合成されたものを分析してみると、炭素原子が60個集まった化合物の存在割合が飛びぬけて多いことが判明したのです。これこそが、のちに「フラーレン」と命名される球状物質だったのです。


 当初フラーレンの合成には、レーザーを用いて黒鉛を蒸発させていましたが、得られる量は極僅かなものでした。その後1990年になって、アーク放電を用いて黒鉛を蒸発させる方法がドイツで考案され、フラーレンの合成量が飛躍的に高まったのです。


 その後2000年に入って、ベンゼンやトルエンなどの炭化水素を原料とし、それらを不完全燃焼させることによってフラーレンを得る「燃焼法」と呼ばれる合成方法が開発され、フラーレンの合成量がさらに高まることとなりました。


 フラーレンの価格は当初グラム当たり5千円以上もし、「金より高い」と言われていました。しかし、生産技術の革新によって大量合成が可能となり、実験室レベルの合成から工業生産可能なレベルになったのです。その結果、今では価格も十分の一以下に抑えることができるまでになっています。価格の高さと供給量の少なさが実用化へのネックになっていましたが、現在では実用材料として十分に供しうるところまできており、さまざまな分野への適用がはじまっています。

         

フラーレンについて

フラーレンは炭素原子で構成されている微小な中空状の分子です。フラーレンの存在が確認されたのは1985年のこと。現在、素材やバイオなどの多くの先端技術分野で、その特異な機能を示すことが期待されています。

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